©  by Tomonari Yashiro, The author of Innovation Management : Strategic Thinking for Process and Team Orchestration

February 28, 2018

January 30, 2018

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キャッシュレス化が生み出すビッグデータが引き起こす変革

January 1, 2018

スマホのアプリ微信支付(WeChatPay)や支付宝(Alipay)などの普及で中国ではキャッシュレス化が急に進んでいます。訪中した人々からは、例えば「滞在中一度も現金での支払いがなく、唯一の現金の使用機会はフルアテンドしまとめ払いしてくれた友人への支払いのみだった」などというキャッシュレス化の進展を物語るようなお話をきくようになりました。

 

こうした変革は、スマホを通じて様々なサービスを平易に迅速に利用できるようになるという、個人目線での利便性の向上にとどまらず、社会制度のあり方や、企業の思考・行動も大きく変えてくことになるでしょう。

 

いま、WeChatPayの運営者であるTencent社や、Alipayの運営者のアリババ・グループには、各個人の家計データが蓄積されています。それは、消費支出に関する悉皆的なビッグデータともいえます。

もし、中国の金融・経済政策当局が、これらの運営者と連携し、このビッグデータが活用できるようになれば、金融政策や経済政策の実効果を精確に評価できるようになるでしょう。

過去、各国の金融・経済政策当局は、金利、税制度、補助金制度を操作して、その国の経済状況を誘導しようとしてきました。ただ、その効果評価は、例えば日本全体で消費支出が0.5%増えた、などといったようなアウトカムの統計値に頼らざるを得ませんでした。マクロな金融・経済政策が、各消費者の行動というミクロ経済に具体的にどんな影響を与えているのか精確に分析する術がなく、アウトカムと政策との因果関係については、私達はエコノミストの諸説紛紛のご高説を本当にそうなのかなと思いながら拝聴するしかありませんでした。

一方、この消費支出ビッグデータが活用できるようになれば、金融・経済政策が各個人の消費支出にどのような影響を与えたのか精確に分析評価できるようになります。つまり、中国の金融・経済政策当局の目の前には、世界に先駆けて、ミクロ経済データとマクロ経済データを結びつけつつ、政策を企画実行していく可能性が拡がっている、と見ることができます。

そればかりではありません。個人の消費支出動向がガラス張りになるということは、付加価値税(例、日本の消費税)などの間接税を、大きなコストをかけることなく、公平に導入・運用する途を拓きます。昔、日本では、消費税が導入されたおり、私達が払ったと思っている税金の相当割合が、商品の売り手から国に納められず、公然と「益税」といわれていたことを思い出します。中国は、これから高齢化社会に移行していくとのことですが、中国は日本のように、高齢化社会への財源確保のため税の直間比率を是正していくのに苦労しなくてすむかもしれません。

 

また、中国のBtoC企業が、WeChatPayデータを利用できるようになれば、例えば天候などによる購買行動変化を分析するなど、その戦略策定や生産計画、あるいは新商品・サービス企画に有益な情報を得ることができるようになるでしょう。

 

このようにWeChatPayやAlipayの普及は、利用者である個人の利便性を超えて、金融・経済政策のあり方や、企業行動のあり方を大きく変革させていく可能性があると考えられます。

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