Sticky Information - 情報・知識の場所へ貼り付き

いまや、ワンクリックで瞬時に、情報や、知識を地球の裏側まで送り届けることができます。

しかし、全ての情報が、ワンクリックで運搬できるわけではありません。

MITのVon Hippel 教授は、ある場所に所在する人・組織に張り付いていて他所に移転していかないような情報をSticky Information (固着情報)と呼んでいます。

そして、情報の固着性stickinessとは、

その情報をその情報を探している人が使えるような形で特定の場所に移転するためにかかる、費用負担の増加分であると述べています

この増加費用が小さいのであれば情報の固着性は低く、逆に

費用が高いのであれば固着性は高いということになります。

お金と時間をかければ、ある場所に所在する人・組織がもっている情報や知識を移転していくこともできるでありましょう。ですから、運搬・移転が絶対に不可能だという知識、情報は少ないかもしれません。しかし、拙著で繰り返し書いているように、現代イノベーションで必要とされる情報、知識は多種多様かつ膨大で、それらをスピーディに取り扱っていくことが求められています。現代のイノベーションに向かっていくプロセスでの、多種多様な情報、知識の吸い込みスピードは、イノベーション競争の死命を決するといっても過言ではありません。それだけに、特定の情報、知識の移転のために、お金や時間を多大にかけていくわけにはいかないのです。

ではどうすればよいのでしょうか?

答えは簡単です。情報、知識をもっている人々を地理的に集約させ、固着情報・知識の地理的集積を作っていけばよいのです。

グーグルやマイクロソフトなど、まさに、ワンクリックでの情報移転を担う企業が、実は、大学キャンパスにみまがうような施設を作り、そこでの多様な情報、知識の地理的集約がそれらの企業のイノベーションを支えているという事実が、「情報・知識の場所へ貼り付き」という概念の重要性を示唆しています。

参考文献:Von Hippel. E. [1994] “Sticky Information and the Locus of Problem Solving: Implication for Innovation. Management Science, 40 (4) 429-439

ブログ趣旨

日々変わりゆく、現代イノベーションの諸様相を、拙著を下敷きに負っていきます

最新記事
アーカイブ
タグから検索
カテゴリー
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square

©  by Tomonari Yashiro, The author of Innovation Management : Strategic Thinking for Process and Team Orchestration